七五三の時に男の子が着る着物と言えば、羽織袴や被布があります。
何歳でどちらの衣装を着せればいいのか、着物のデザイン選びなど悩むことも多いですよね。この記事ではそのような人に向けて、七五三の儀式のもつ目的や、着物のデザインに込められた意味について詳しく解説しながら、七五三の衣装選びに役立つ情報を紹介しています。
七五三とは?
子供の健やかな成長を願うお祝い行事の1つ、七五三。元々は各年齢で行われた、それぞれに別の儀式が存在することをご存知でしょうか?ここでは、七五三について詳しく知らない・知りたい人に向けて、まずは七五三の本来の持つ意味や、時期、準備のタイミングについて紹介していきます。
七五三の起源・成り立ちについて
七五三の起源は諸説ありますが、広く一般に認知されるようになった時期は江戸時代と言われています。元々平安時代の頃から子供の成長と健康を祝い・願う行事として、身分の高い貴族の間で行われてきたようです。
この行事が、江戸幕府第 5代将軍徳川綱吉が体の弱かった長男、徳松の健康を祈祷したことがきっかけで広まったという説があります。元々は全く別の意味を持つ儀式ですが、子供の成長を祝う行事として、「七五三」とまとめて呼ばれるようになりました。
いつ頃行うのか
七五三の時期は、収穫を終えた 11月に氏神への感謝と合わせて、子供の健やかな成長への感謝とさらなる成長を祈願するものとして、この時期になったとされています。 15日は旧暦の鬼宿日で、鬼が出回らない日=縁起の良い日ということから選ばれています。また、七五三それぞれの儀式は以下のように全く違う儀式を行います。 ・ 3歳「髪置(かみおき)」
江戸時代までは 3歳を迎えるまで剃髪していた文化があり、この髪置の儀以降に伸ばし始めたとされる。(主に女児)
・ 5歳「袴着(はかまぎ)」 5歳を迎えた男児が、初めて袴を着用する儀式。紋付きの着物を着用する。
・ 7歳「帯解(おびとき)」 7歳を迎えた女児が、初めて大人の女性と同じ幅の広い帯をつける儀式。
男の子の場合、 5歳の袴着が重要視されており、成人男性の正装である紋付袴姿で執り行う形が一般的です。
いつまでに準備すればいい?
七五三をするにあたり、準備の必要なことは衣装(着付け)・祈祷・スタジオ撮影です。親族で会食が必要になる場合は、その手配や予約もしなければなりません。
衣装は購入であれば、半年~ 1年ほど前に余裕を持って準備しておきたいですね。レンタルを利用する場合は、店舗によっては最短で当日利用できるところもあります。
しかし、柄がどんどん予約されていく事を考えると早ければ半年前、少なくとも 1週間前には予約するようにしましょう。祈祷は神社によって予約の有無が異なりますので、大きな神社にお参りする予定の方は特に、時期も含めて早めに確認しておくことをおすすめします。
スタジオ撮影は、前撮りを半年程度前(日焼け前)に行うことも多いですが、参拝や会食の様子を両親の手で撮影し、アルバムを手作りする場合は予約の必要はありません。
男の子は何を着る?
男の子の七五三衣装をスーツにするケースも、近年増えてきています。しかし、一生に一度の七五三だから、着物で行いたいという人に向けて、ここでは伝統的な和服での七五三を想定した衣装選びについて紹介していきます。
着物
着物は、体格にもよりますが四つ身と呼ばれる身丈の 4倍の布で仕立てられた着物を着用します。ただ、お宮参りで初着を購入していた場合は、仕立て直して七五三で着用できるものもあります。
羽織
羽織は基本的には成人男性の正装衣装として使われているものです。七五三の男の子の衣装は「袴を履くこと」がメインのため、羽織の有無はそれほど重要ではありません。 それでも羽織を着用するのは、着物を購入する家庭が減り、一式セットでのレンタルが増えたことや、背中に豪華な模様入りの羽織でお祝いする目的などがあるからです。そのことから、近年では羽織も含めて 5歳の七五三衣装として広く認知されています。
袴
5歳の七五三は「袴着」の儀式であるため、袴の着用が正式な衣装となります。袴着には、それまで神の子として現世に定着していない存在だったものから、人として成長していく通過儀礼の 1つと考えられている側面があります。
七五三が始まった時代はまだ子供の死亡率が非常に高かったことから、七五三を迎えるまではまだしっかりと安心できないとされていたからです。
袴には人としての成長を喜ぶ意味と、健やかに成人を迎えられるようにとの願いが込められていたことがうかがえますね。
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男の子の羽織の柄によくあるモチーフとそれぞれの意味
男の子の和服の柄によく使用されているモチーフには、それぞれに込められた意味があります。ここでは特に七五三でおすすめのモチーフを 3つ、その意味を交えて紹介していきます。
龍
龍は神話にもよく登場する架空の生き物で、威厳や強さを表す意味で使用されます。また、天空に高く昇っていく姿から、「昇龍(のぼりりゅう)」として出世や活躍を象徴するモチーフとして、非常にメジャーなモチーフの 1つです。
見た目の格好良さから男の子に好まれる柄でもあります。また、干支の辰年にもなぞらえて、辰年生まれの男の子に縁起の良い柄として人気があります。
中国では古来、皇帝を意味する象徴だったことから「栄光」や「気高さ」を持つような、将来の子供の活躍を願う意味が込められています。
兜
兜も男の子の着物や羽織の柄に多いモチーフです。
兜は、戦国武将や武士達が頭部を守るために着用していたことから、災厄から身を守ってくれるように、健やかな成長を願って好まれる柄です。
また、豪華な装飾のある兜は、武将の中でも身分の高い人物が身に付けていたことから、立身出世や大成を祈願し、威厳のある人物になって欲しいという意味も持っています。
打ち出の小槌
打ち出の小槌は、メイン柄としてだけでなく様々なモチーフの脇にも描かれることの多い柄です。欲しいものを思い浮かべながら振ると、様々なものが手に入るため、物や金銭に困ることない人生になるように、との願いが込められています。
おめでたい模様であることから、「宝尽くし」と呼ばれる柄の 1つとされ、金嚢(きんのう)や宝珠などの宝物と共に描かれることの多いモチーフです。
また、一寸法師が大きくなる時に使用された物という視点から、すくすくと大きく育つことを祈願する意味でも親しまれています。
男の子も3歳でも七五三を祝うようになってきた!
男の子の七五三のメインは 5歳の「袴着」の儀式ですが、近年では 3歳でもお祝いする傾向にあります。ここでは、その理由や 3歳の時に着用する被布について紹介しています。
なぜ祝うようになったの?
七五三は子供の成長を祝い、これからさらに健康に育つことを祈願するお祝い行事です。基本的には「髪置」「袴着」「帯解」の儀式ですが、地域や家庭の風習によっては 3歳・ 5歳・ 7歳全ての年齢で、男女問わずお祝いするところもあります。
つまり、 5歳でのみ七五三をしなければならない、というものではなく成長を祝う思い出づくりの 1つとして親しまれるようになったことから、男の子も 3歳でも七五三をする例も多くなってきています。
3歳で男の子が着る被布って何?
5歳が「袴着」なので、 3歳では袴以外の衣装が多く選ばれています。
袴姿ではないという点から、女の子の 3歳同様に、被布と呼ばれる着物の上に丈の短い衣服を着用した姿が主流となっています。
この被布は、江戸時代の末期に茶人や俳人が好んで着用していたものが、女性や子供の間にも広まったもので、子供用の帯である兵児帯(へこおび)が見えないように隠す意味でも使用されています。
まとめ
七五三で男の子が羽織袴を着用した姿は、成長を感じられる貴重な機会の 1つですね。スーツでの撮影も素敵なものではありますが、レンタルを利用すれば手軽に、お子様に日本の伝統に触れさせてあげることができるのではないでしょうか。